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    • 公開日2022/10/18
    • 更新日2022/10/18

    家庭料理には人を幸せにする底力がある!|#28 簡単料理研究家*服部みどり

    NadiaのArtistにスポットを当て、ここでしか聞けない裏話や料理家さんの想いをお送りする「Artist History」。今回は、簡単で美味しい家庭料理のレシピが人気の服部みどりさんにインタビュー。現在は、料理研究家として企業や書籍でのレシピ開発などで活躍する服部さんですが、実はこれまでに水族館の職員やツアーガイド、飲食店の店長を経験してきた、異色の経歴の持ち主。バイタリティあふれる生き方が魅力の服部さんに、これまでの道のりや料理へのこだわり、Nadiaに対する想いについて、お話を伺いました!

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    家庭料理には人を幸せにする底力がある!|#28 簡単料理研究家*服部みどり

     

    料理に目覚めたきっかけは調理トイ

    服部

    料理を始めたのは小学3、4年生ごろから。もともと実家が飲食店で、幼いころから料理している両親の姿を見ていたんです。両親がお店に出ていて家にいないときは、4人兄弟の長女の私が家族のご飯を作ったりすることもありました。小さいころから自分にとって、キッチンはなじみのある場所でしたね。

    友だちにも、飲食店の子が多かったんです。ある友だちの家に、目玉焼きを作れる「ママレンジ」というおもちゃがあって。その子の家に行くたびに、一緒に目玉焼きを焼いて遊んでいた時期がありました。たかが目玉焼きなのですが、上手に焼けたらうれしくて、特別に美味しく感じて…。今度は油を多めにしようかな、なんて、そのときから料理研究家みたいなことをやっていましたね(笑)。料理に対するワクワクの気持ちが芽生えたのは、それが最初かもしれません。

     

    料理家になるまで、さまざまな職業を経験

    服部みどりさん

    はじめての就職先は水族館。小さいころ、旅行に連れて行ってもらった新潟の佐渡島で、船頭さんに「たまにイルカが出るんだよ」って言われて、ずーっと甲板にいてイルカを探していたことがあって…。そのときから、やたらとイルカが気になる存在に(笑)。いつも笑顔にみえるイルカに惹かれ、イルカの近くに行きたい願望を叶えたくて、水族館の職員になりました。水族館では、魚のエサの三枚おろしを毎日大量に仕込むのですが、今思えば魚のさばき方を覚えるきっかけになりました(笑)。

    水族館で数年勤めたのち、野生のイルカを求めて小笠原諸島へ移住。1年くらいのつもりが7年ほど暮らすことになりました。最初は飲食店に勤務しながら、島を案内するツアーガイドの手伝いなどをしていましたが、そこで毎朝作っていたお客さま用のお弁当が口コミで評判になって。いろいろな方のご縁やサポートがあり、島の新しいカフェのオープンに携わることになったんです。

    私の担当は島の食材を使ったカフェメニューの開発、調理はもちろん、店の内装や看板を制作したり…。あまり予算がかけられなかったため、できるものは自分で作る工夫が必要でした。今考えると大胆な行動に感じますが、実家が飲食店であったせいか、わりと抵抗なくチャレンジできたんですよね。

     

    東京に戻り、飲食店店長へ

    その後、島から東京へ戻り、島をコンセプトにした飲食店のオープニングスタッフを募集しているチラシを見て、またまた直感で応募しました。キッチン志望で入ったのですが、すでに決まっていた店長候補がオープン直前にやめてしまったというアクシデントに巻き込まれて、島に住んでいた経験がある私が店長になることに。

    店長をしていたときは、料理を作るだけでなく、店舗運営のマネジメントや原価計算、接客やお客様の名前を覚えるなど、自分のキャパシティ以上のことをやっていました。自分ひとりではできないことばかりだったので、人と一緒に仕事をする大切さを知ることができましたね。

    それから、店長を経験してよかったことは視察をする機会があったこと。沖縄の酒蔵をまわったり、作り手の想いを聞く機会がたくさんあったんです。実際に作り手のこだわりなどを直接聞いてから、持ち帰ってお店で売ったときに売上がグッと上がるんですよ。作り手の想いを聞いているので、商品を売るときにも熱が入るんですよね。

    勉強すること、体験すること、そして作り手のお話を聞くということ。それがすごくいい経験になったし、今のレシピ開発にも経験が生きているんじゃないかと思います。料理家としてメーカーの方とお話するときに、どういう想いで商品を作られたのかというのを汲み取るきっかけにもなりました。

     

    結婚後にフリーランスの料理家へ転身

    飲食店の後は、結婚を機に野菜を扱う会社に入社。豆苗やスプラウトを使った家庭向けレシピ開発を担当しました。もうちょっと自分の好きなことを突き詰めたいと思って、上司に相談したら、「レシピ開発を業務委託でやるのはどう?」と言っていただいて。そのおかげで一歩踏み出すことができ、フリーランスの料理研究家として活動することになりました。もちろん委託だけじゃうまくいかないので、そこから自分で営業をはじめて、少しずつですが仕事をもらえるようになったんです。

    現在の仕事は、レシピ開発やメニュー企画、キッチン家電・ツール検証業務などです。毎回課題に向き合うので、その都度学びや発見が必ずあり、成長を実感できるのがやりがいですね。

     

    Nadiaでの仕事は一体感が得られる

    服部みどりさん

    Nadia Artistに応募したきっかけは、ウェブサイト。料理家としての仕事をもっと増やしたくて、ウェブサイトで「料理家 レシピ」など調べていたらNadiaがヒットしたんです。はじめてサイトを見たときには、料理の魅力だけではない「心地よい丁寧さ」を感じて…なんだか惹かれるものがありました。サイトを見て「すごくレシピを大切にしてくれそう!」って思ったんです。

    それから、全員が投稿できるわけではない審査制というシステムも魅力的でした。やっぱり、どこか自分の力を試してみたいという思いもあったんですよね。あのとき迷っていたら、こういう風にインタビューを受けさせていただくこともなかったし、自分の力だけじゃできないような仕事を受けることもなかったし、Nadiaに応募して本当に良かったと思っています。

    Nadiaの社内でのお仕事がある日は、担当してくださる営業のみなさんはもちろん、社長も気さくにお話してくださいます。編集部や技術チームほか関係スタッフのみなさんも、本当にいつも温かく迎えてくださって、ホームのような安心感があります。

    やはり料理を作る仕事は、その環境でできあがる料理も変わってくると思うし、 Nadiaにはすてきなキッチンとリラックスできるムードがあるので、仕事をしていてすごく心地がいいんです。心強さと一体感があり、緊張感があるお仕事でも夢中に頑張れます。だからこそ、作品が公開されたときの喜びはひとしおです。

     

    作り手と食べる方をレシピでつなげたい

    服部みどりさん

    レシピのモットーは、「シンプルに」です。レシピ開発の際には、食材ひとつひとつの状態をよく観察し、その食材がどうやったらベストな状態で食べられるかと考えるようにしています。個人的にはあまり手をかけず、素材を楽しむような調理方法が好きですね。

    企業のレシピ考案の場合は必ず、料理をする方、食べる方の行動や思考を探るようにしています。私は作り手と食べる方をつなげるような役割がしたいという想いがあって...常に食べる人のプチマーケティングをしているんです(笑)。食事の時間帯やキッチンにかける時間、どんな生活をしているのか…。それぞれの背景や想いを汲み取れるよう、実際に町でどういう方が買うのかをリサーチしながら、レシピを考えています。

    これからは、「弱っているときに役に立つ料理」も積極的に提案していきたいです。自分自身が、ここ数年で予測しなかった入院や手術を繰り返し、元気なときには気がつかなかった事情がたくさん見えてきました。弱っているときに、より食事の大切さを痛感しました。だからこそ、弱っているときに役立つ優しく寄り添うレシピを伝えられる料理家として成長したいです。

     

    家庭料理には人を幸せにする底力がある!

    服部みどりさん

    今後の目標は、生涯、料理家を続けていくこと。多くの方に信頼していただけるような「簡単で美味しい料理」をお伝えできるような料理家になりたいです。そして、「家庭料理は人を幸せにする底力がある!」ということを伝えられる料理家になれたら本望ですね。

    小さいころ、料理研究家・結城貢先生の「料理は愛情!」というキャッチフレーズでスタートする『夕食ばんざい』という料理番組がありました。結城先生のこの言葉は、まさに家庭料理の在り方、醍醐味だと考えています。この厳しいご時世で、仕事や家事に追われ、愛情込めて料理をするなんて、もしかしたらきれいごとと言われてしまうかもしれません。

    でも私は、この言葉は「ちゃんとした料理を作ろう!」という意味ではないと思っているんです。「料理は愛情!」は、あくまでスタンス。サラダの野菜を冷やしてシャキシャキ食感を楽しむ、味噌汁やスープを温めて体も温める、料理を「適温」にするだけでも美味しい家庭料理に仕上がります。どんなに簡単で質素な食事でも自分や食べる人のことを考えて作ったり、たとえ外食でも体調に合わせた選択をすれば、胃袋だけでなく心も体も満たすことができる。だから私は夕食を決めるときも、夫に「今日の体調は?」とLINEで聞いてから考えるようにしているんです。

    心地よい食事は疲労を回復し、明日また頑張る活力をくれます。私も、みなさまの心に届く温かい料理の魅力をお伝えできたらいいなと思っています。キーワードは「料理でエール!」です!

    写真:高橋 しのの  文:室井瞳子

     

    簡単料理研究家*服部みどり's profile
     
    簡単料理研究家、ナチュラルフードコーディネーター。カフェや居酒屋チェーン店立ち上げ業務(マネジメント・メニュー開発経験あり)など飲食業界に携わったのち、野菜を扱う食品メーカーで料理レシピ企画を担当。現在は書籍のレシピ制作・飲食店メニュー開発のほか、雑誌・テレビ・新聞・WEBなどメディア各種で食品や調理家電などの検証を行う料理家として活動中。

    簡単料理研究家*服部みどりさんのプロフィールはこちら
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